学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第155回のテーマは「中学受験するかどうか、志望校などについて学校で話題にしないよう指導してほしい」。
学校と塾とはきちんと区別する
今回のテーマは、中学受験に関する話題を小学校でどのように扱うのかというものです。私はもともと公立小学校の教員でした。横浜市で働いていた学校は鉄道の駅から近くにある学校でした。そういったこともあり、中学受験をする子供はとても多かったです。一番多い時期ではクラスの半分くらいの子供が受験をしていたように記憶しています。
私は、クラスの子供がどの中学校を受けるのかなどにはどちらかというとあまり関心がありませんでした。そういうことに関心を持っているクラス担任もいたのですが、私は関心がなかったので、話題にすることもなかったです。最後の時点で行き先が決まったらその時点で確認をする必要はありました。地域の公立中学に進学する子供の数を確定させることは、受け入れ側の公立中学校において重要なことだからです。その時になって、初めてその子供が行く中学校を知ることが多かったです。
小学校のクラスにおいて、担任が中学受験のことについて色々と話題にすることはあまりプラスではないと私は考えます。塾のやり方や家庭の方針などを批判することはさらに良くないと思います。学校の立場から見ると、塾などのやり方に同意できないこともあります。たとえば、受験が近くなったら小学校は休んだ方が良いとアドバイスをすることなどです。だからと言って、そういったものを批判することは全体としてプラスになることではありません。
また、子供同士の会話でも「どの中学を受けるつもり」「この前のテストでの順位は何番だった」などの話題が多くなることは避けた方が良いと思います。周りの人が聞いていてあまり気持ちの良いものではありません。
子供によっては熱が入り過ぎ、学校でも塾のクラスや順位などを引きずるような場合があります。また、受験する人が偉く、地域の公立中学校に行く人がレベルが低いというようなことを口にする(雰囲気を匂わす)子供もいます。これは、家庭では親が、塾では塾講師が、そういったことを言っている可能性があります。大人の言葉をそのまま受け取り、周りの人を小馬鹿にするような態度を取る子供もいます。
そういった場合、私は学校と塾とはきちんと区別し、生活をした方が良いというアドバイスをしていました。子供たちが中学受験のことなどを変な形で話題にしていると、学級の雰囲気が悪くなってしまうことがあります。先ほども書いたように序列のようなものができてしまうこともあります。中学受験をする・しないは家庭の問題で、それぞれの選択です。そういったことを全体の場や個別への対応によって伝えていくと良いのだと思います。
中学受験をする子供や親は色々と神経質になっています。特に受験が近づいてくるとなおさらです。学校(担任)が変な形で子供や親にストレスをかけないようにしていくことは大事なことだと思います。基本的には話題にしていかないことが良いのだと思います。
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