教育業界ニュース

【相談対応Q&A】クラス分けで早生まれに配慮してほしい

 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第173回のテーマは「クラス分けで早生まれに配慮してほしい」。

事例 その他
画像はイメージ
  • 画像はイメージ

 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第173回のテーマは「クラス分けで早生まれに配慮してほしい」。

4月から翌年3月までの1年で区切る
影響

 もうすぐ新年度が始まります。新年度に関する子供や親の関心の大きなものは「クラス分け」と「担任」でしょう。その1年間がどのようなものになるのかは、担任の影響も大きいですし、どういったメンバーなのかということも大きく影響してきます。そういった親の思いなどから、新年度のクラス分けについて親から色々な相談をされることがあります。そういったものの1つに「早生まれに配慮してほしい」というものがあります。

 現在の日本の学校は4月から3月までの1年で区切り、学級を編成しています。こういった仕組みは、日本では明治初期の学制によって始まったものです。それ以前は寺子屋や藩校などにおいて年齢はあまり関係なくさまざまな年齢の人が同じ場所に集い、学んでいるのが普通の形でした。

 現在の仕組みである1年で区切ることは色々な影響があります。大人にとっては同じ年に生まれた4月生まれと3月生まれには大きな違いはありません。影響もほとんどないと言っても良いでしょう。20歳の場合、4月時点での4月生まれの人の月齢は240月です。3月生まれの人は228月です。4月生まれを「100」とすると、3月生まれの人は「95」になります。私は現在52歳です。50歳の場合、4月の時点で4月生まれは600月、3月生まれは588月です。4月生まれを「100」とすると、3月生まれの人は「98」になります。その違いは誤差のようなものです。

 子供の場合、年齢が低くなるに従って、その影響は大きくなります。小学校の1年生の場合、入学した時点で4月生まれの子供は、生まれてから72月ですが、3月生まれの場合は、60月になります。4月生まれを「100」とすると、3月生まれの人は「83.3」です。幼児期から児童期は成長の著しい時期でもあります。生まれ月の違いによる差が上で書いた大人の場合よりも大きなものであることが想像できます。

 そういったことを考えると、クラス分けの際、学年が下になるに従い、誕生月への配慮をしていくほうが自然なことでしょう。そういった配慮をすることなく、クラス分けを行ってしまうと、偏りが生じてしまうこともあります。

4月は仮クラスで運営

 1年生の学級編成において、色々な配慮から入学時の4月のクラスは仮クラスとし、5月の連休明けに再度クラス分けをするという学校があります。仮クラスの際は「月齢」や「地域別(下校が同じ方向になる)」で分かるやり方があるようです。4月の時点で誕生月別や地域別で対応し、子供のようすなどを把握し、学校に慣れたところで、改めて5月に学級編成をしていきます。

 1年生の「仮クラス」実施は、2回学級編成を行う必要があるという大変さがあります。しかし、その手間を上回るくらいのメリットがあるのではと私は考えています。小学校の2年から6年までの学級編成は、それまでの学校での子供のようすをきちんと考慮したうえで子供たちの組み合わせを作ることができます。ただし、1年生だけはそういった情報が少ない状態で組み合わせを作ることとなります。幼稚園・保育所からの情報を手に入れたうえで作るのですが、それらの情報は十分でなく、少しギャンブル的な面があることも事実です。子供の状態をきちんと把握できないままで組み合わせを作るからです。近年、小1プロブレムなどが話題になりますが、そういったクラス分けによる影響をあるのではと私は思っています。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

質問をする
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

+ 続きを読む

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top