「発達障害」は学校現場で重要なテーマです。発達に偏りがあることによって、トラブルが発生することがあるのですが、その中でも「学習」に関することは起こりやすいテーマの1つです。今回は「発達障害に配慮して宿題を減らしてほしい」をテーマにしたいと思います。
発達障害の子供は1クラスに
2~3人
文科省の調査では普通学級に在籍している発達障害の子供の割合は6.5%とされています。1クラスに2~3人ということになります。発達の偏りがあることでトラブルが発生することがあるのですが、そういったものの中でよくあるものが「学習」に関するものです。その中でも特に「宿題」に関するものはよく問題となります。
家庭では甘えが生じる
学校での学習場面であれば、周りの子供もきちんと学習をしているという状況が多くなります。そういったこともあり、発達障害を抱えた子供も周りの子供たちの行動に引っ張られるような形で取り組むことができる場合があります。その点、自宅で宿題等に取り組む際は、通常は1人で取り組むことになります。自宅なので、すぐそばに自分が好きなもの(携帯型ゲーム、テレビ・ビデオ、漫画、お菓子等)がある状況となります。そういったものに気持ちが揺らぐことも起こるであろうと想像ができます。家にいる大人(多くの場合は親)との関係はどうしてもなあなあになってしまうことが多いです。学校のように「教師―児童」という関係ではないので、親子の関係では、子供も親も甘えのようなものが生じてしまうことがあります。
宿題を減らす以外のやり方もある
保護者から「発達障害の子供の宿題を減らしてほしいのですが…」という相談を受けることがあります。宿題の減免は障害者差別解消法に基づく合理的配慮として認められるものではありますが、学級内での仲間との関係を考えた場合、違ったやり方もあると思います。特別に宿題を減らすことで、他の子供から「ずるい」という声が上がることがあります。教師に対する不満につながったり、発達障害を抱える子供へのいじめのようなものにつながってしまったりする場合もあります。
そういったこともあるので、宿題の個別対応は慎重に行うことが求められます。たとえば、一律にすべての子供に同じ量の宿題を出すというやり方を変えるという方法があります。すべての子供に共通して取り組むもの(あまり量の多くないもの)を設定し、それとは別にそれぞれの子供が自分の状況に応じて取り組むものを設定するというやり方にします。こういったやり方であれば、それぞれの子供に合わせた宿題の設定がしやすくなります。現在は、タブレット/PCが子供の身近にある状態です。そういったものを上手に活用することで、個別対応の宿題が取り組みやすくなります。
また、それとは違った方法で私が推奨しているものは「自主学習」の取組みです。それぞれの子供が何の宿題に取り組むのかを自分で決めて取り組むというやり方です。私が関わったことがある子供の場合、その子供は昆虫が大好きでした。自主学習では、「虫図鑑」を作っていました。こだわりが強い子供だったので、その図鑑の出来は素晴らしく、皆の前で褒めることができました。そういったことによってその子供は精神的も安定した日々を過ごすことが多かったです。毎日、自主学習だけにする訳にはいかないかもしれないのですが、そういった取組みを定期的に取り入れることで救われる子供がいることは事実でしょう。
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