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大学入試改革にインセンティブ付与…文科省提言

 文部科学省の「大学入試のあり方に関する検討会議」は2021年7月8日、大学入学共通テストの枠組みでの英語民間検定試験と記述式問題の導入は困難とする提言を取りまとめ、萩生田光一大臣に手渡した。大学入試改革の好事例にインセンティブ付与を検討すべきと提言している。

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令和6年度(2024年度)実施の大学入試に向けたスケジュール
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 文部科学省の「大学入試のあり方に関する検討会議」は2021年7月8日、大学入学共通テストの枠組みでの英語民間検定試験と記述式問題の導入は困難とする提言を取りまとめ、萩生田光一大臣に手渡した。大学入試改革の好事例にインセンティブ付与を検討すべき等と提言している。

 「大学入試のあり方に関する検討会議」は、大学入試英語成績提供システムおよび大学入学共通テストにおける国語・数学の記述式問題の導入見送りを受け、英語4技能評価や記述式問題の出題を含めた大学入試のあり方を検討するため、2019年12月に設置。今回、計28回の審議の結果をもとに提言を取りまとめた。

 提言では、大学入学共通テストの枠組みで英語成績提供システムを介して英語資格・検定試験のスコアを一元的に活用する仕組みについて、「大学入学共通テスト本体並みの公平性等が期待される中にあって、この方式の実現は困難であると言わざるを得ない」と指摘。大学入学共通テストに記述式問題を導入することについても「一定の意義はあるものの、課題の克服は容易ではなく、その実現は困難であると言わざるを得ない」と結論づけている。

 そのうえで、総合的な英語力評価や記述式問題出題の推進は重要とし、個別試験や総合型選抜・学校推薦型選抜での活用に期待。記述式問題の出題、総合的な英語力の育成・評価、多様な背景をもつ学生の受入れ、入学後の教育との連動や文理融合等の観点からの出題科目の見直し、入学時期や修学年限の多様化といった大学入学者選抜と大学教育の一体的な改革は、他大学の模範となる先導的な取組みを推進することが重要であり、積極的な取組みを促進・評価する観点からインセンティブの付与を検討すべきとした。

 例として、国立大学は第4期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金のあり方についての検討状況も踏まえ、優れた取組みも促進・評価できるよう検討すべきと提言。私立大学は、私学助成のうち、特色ある取組みや大学改革を推進する支援スキームを活用し、評価項目の見直し等により、他の模範となる優れた取組みを促進。公立大学は、好事例の認定結果を設置者や設立団体に対し、法人(大学)評価や資源配分の参考に活用できる旨を通知することを検討すべきとした。

 この他、電子出願やCBT化、オンライン面接等、大学入学者選抜におけるデジタル化の推進についても提言している。
《奥山直美》

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