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10代LGBTQの48%が自殺念慮、14%が自殺未遂

 ReBitは「LGBTQ子ども・若者調査2022」を実施し、速報を公開した。全国調査と比較し、高校生の不登校経験は10倍にものぼるが、9割超が教職員・保護者に安心して相談できていない実態が明らかになった。

事例 その他
この1年に経験したこと(自死・自傷)
  • この1年に経験したこと(自死・自傷)
  • 相談できる人・場所の有無と、自殺・自傷の関係
  • 保護者へ相談できるか
  • 保護者との関係で生じた困難
  • 教職員へ相談できるか
  • この1年で、学校でLGBTQについて学んだ経験
  • この1年の不登校経験(中高生)
  • この1年で経験した、学校での困りごと

 ReBitは「LGBTQ子ども・若者調査2022」を実施し、速報を公開した。全国調査と比較し、高校生の不登校経験は10倍にものぼるが、9割超が教職員・保護者に安心して相談できていない実態が明らかになった。

 同調査は、13年にわたりLGBTQユースの課題に取り組んできたReBitが、みてね基金の助成を受けてインターネットで実施した。LGBTQの認知度の向上等、肯定的な社会変化があった一方で、LGBTQユースは未だ困難を抱え、生きづらい状況にあることが浮き彫りになった。調査期間は2022年9月4日~9月30日で、有効回答は2,623名、回答者の年齢は12~34歳。

 10代LGBTQは過去1年に、48.1%が自殺念慮、14.0%が自殺未遂、38.1%が自傷行為を経験したと回答。日本財団の「日本財団第4回自殺意識調査(2021)」と比較すると、10代LGBTQの自殺念慮は3.8倍高く、自殺未遂経験は4.1倍高い状況にある。

 なお、「普段からセクシュアリティについて安心して話せる相手や場所がない」と回答した10代LGBTQは47.2%、20代は36.9%、30代は32.9%。普段からセクシュアリティについて安心して相談できる場所が「ある」群と「ない」群を比較すると、相談できる場所が「ある」群は、自殺念慮が12.2ポイント、自殺未遂が2.2ポイント、自傷行為が8.0ポイント下がっている。セクシュアリティについて安心して相談できる場所があることが、LGBTQユースの自殺対策につながることがうかがえる。

 しかし、LGBTQユースの91.6%が「保護者へ相談できない」と回答している。具体的な困難状況は「保護者からLGBTQでないことを前提とした言動があった」(66.0%)、「保護者に自分のセクシュアリティを隠さないといけなかった」(49.7%)、「保護者がLGBTQに否定的な言動をした」(47.2%)、「保護者へセクシュアリティがバレてしまうことを不安に感じた」(46.5%)となっている。保護者に相談できないだけでなく、保護者との関係性自体が、困難や悩みにつながっていることがわかる。

 また、LGBTQ学生の93.6%が「教職員に相談できない」と回答しており、この1年で「学校に行きたくない」と感じ、不登校を経験したLGBTQ中学生は22.1%、高校生は14.9%。文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(2020)」と比較すると、不登校率はLGBTQ中学生で5.4倍高く、LGBTQ高校生では10.6倍高い状況にある。

「LGBTQ子ども・若者調査2022」の速報は、Webサイトで閲覧できる。


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10代LGBTQの48%が自殺を考え、14%が自殺未遂を経験

《中川和佳》

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