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【相談対応Q&A】読みやすいフォントにしてほしい

 学校からさまざまな情報発信が行われています。そういった中で近年話題になるのが「フォント」です。読みにくいフォントを読みやすいフォントにしてほしいという要望が学校に来ることがあります。今回のテーマは「明朝体は読みにくいので、UDフォントにしてほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第85回のテーマは「明朝体は読みにくいので、UDフォントにしてほしい」。

ユニバーサルデザインが浸透


 学校からさまざまな情報発信が行われています。そういった中で近年話題になるのが「フォント」です。読みにくいフォントを読みやすいフォントにしてほしいという要望が学校に来ることがあります。

 世の中では、ユニバーサルデザイン(UD)の考え方が浸透しています。学校においても同様です。具体的には、教室の掲示に関して、教室の前面にはあまり掲示物を貼らないような配慮がその1つです。黒板の周りの部分に子供にとって気になる(気が散る)掲示物を減らし、授業に集中しやすくするという配慮です。他にも授業の流れを黒板に隅に示しておくというものもあります。「1.前回の復習」「2.めあての確認」「3.自力解決」「4.考えの共有」「5.練習問題に取り組む」このような表示をしておくことで、現在取り組むことやその後に取り組むことが理解しやすくなるという配慮です。

読みやすさに配慮


 学校のさまざまな部分で上記であげたような配慮がされるようになってきています。そういったものの1つが「UDフォント」です。学校で使われている教科書やドリル等は多くの場合「教科書体」というフォントが使われています。そのフォントは、実際に人が手で書く字に近い書体とされています。

 パソコンのワープロソフトで標準で表示される「明朝体」や「ゴシック体」は、一部の字で実際に人が書いた時の字とは違う表示になる場合があります。たとえば「令和」の「令」の字がそれにあたります。私の名前は「鈴木」なのですが、「鈴」の字も同様です。

 細かいところが気になる子供にとっては、そういった部分の違いが気になります。それがきっかけで学びでつまずいてしまうこともあります。その点で配慮がされているものが「UDフォント」です。ワープロソフトに標準で備わっていることが多いです。学校からの便り(学校便り、学年便り等)を始め、学校で発行する印刷物のフォントをそういったフォントに変えていくことは難しいことではありません。

 また、「UDフォント」のように読みやすいフォントというものに似たものに「ふりがな」があります。学校において外国につながる子供も増えています。親向けの文書等にすべてふりがなを付けている学校もあります。そういった配慮はUDの考え方です。なるべく困る人が出ないような配慮が望ましいです。

 日本語が苦手な人への配慮としては、翻訳サービス等があります。大きな自治体では学校から配布する大切な手紙等を日本語以外の言語(スペイン語、中国語、韓国語等)のバージョンも用意し、配布しているところもあります。

 今後、学校からの連絡は「紙」から「デジタル」へ移行していくことが予想されます。メール等のデジタルツールの場合、紙の場合と比べ、翻訳等が容易になります。ボタンを1つ押すだけで翻訳ができるような場合もあります。今後はそういったことが進んでいくことでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。
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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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