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新学習指導要領「内容を理解している」保護者は1割以下

 2020年度から小学校で全面実施された「新学習指導要領」について、約8割が移行を知っているものの、内容まで知っている保護者は1割以下であることが、2022年4月~5月に「テラコヤプラス by Ameba」が調査した結果より明らかとなった。

教育行政 その他
「新学習指導要領」への移行の認知
  • 「新学習指導要領」への移行の認知
  • 「プログラミング教育」への期待
  • 「新しい英語教育」への期待
  • 「特別の教科 道徳」への期待
  • 「主体的・対話的で深い学び」(アクティブラーニング)への期待
  • 伸ばしてあげたい子供の能力
  • 教育の変化を踏まえて、子供に習わせたい習い事
  • 新学習指導要領に関する調査
 2020年度から小学校で全面実施された「新学習指導要領」について、約8割が移行を知っているものの、内容まで知っている保護者は1割以下であることが、2022年4月~5月に「テラコヤプラス by Ameba」が調査した結果より明らかとなった。

 新学習指導要領は、2020年度に小学校で全面実施され、中学校は2021年度、高校では2022年度から開始している。3つの柱「知識および技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」から「資質・能力」を総合的にバランスよく育んでいくことを目指し、プログラミング教育の導入や外国語教育の充実等が図られている。

 新学習指導要領に関する調査は、全国の2021年度の小学1~6年生の保護者501人を対象に、CyberOwlが運営する塾や習い事に関する総合情報サイト「テラコヤプラス by Ameba」がインターネット調査を実施した。調査期間は、4月1日~5月2日。

 まず「新学習指導要領」についての認知度を調査したところ、「移行を知っていて、内容も理解している(6.4%)」、「移行を知っていて、内容もなんとなく理解している(33.5%)」、「移行されたことは知っている(38.9%)」をあわせると約8割の保護者が、 新学習指導要領への移行を知っていることがわかった。

 一方、「移行を知っていて、内容も理解している」保護者は、もっとも多い低学年で9.7%と1割以下にとどまった。「なんとなく内容を理解している」をあわせても5割に満たず、移行を知らない保護者や学習指導要領という名称自体を知らない保護者が2割前後いることも明らかとなった。

 続いて、新学習指導要領のおもな変更点ごとに、保護者が感じた印象や期待点について調査した。まず、「プログラミング教育」への今後の期待について尋ねたところ、全体、各世代すべてにおいて、「期待をしている」「やや期待をしている」をあわせて約7割の保護者が、プログラミング教育は子供によい効果をもたらしてくれそうだと考えていることがわかった。

 「私たちの時代にはなかった教育なので、今後これがどのように活かされていくのか楽しみ(30代後半・小2保護者)」、「プログラミングの授業が始まってから、ゲーム作りに興味が湧いたようで、子どもの将来の目標が増えたことがとても嬉しかった(30代後半・小5保護者)」等、好意的な意見が聞かれた。

 一方で「あまり期待をしていない」「期待をしていない」と答えた保護者からは「子ども達はパソコンを触るだけでプログラミングと思い込んでる節がある。物事の考え方も教えてほしい(30代後半・小5保護者)」「期待したいが、教えてくれる先生の技量にもよるのでは…(30代後半・小1保護者)」といった、教員の質や不足を懸念する声が多数を占めた。

 次に「新しい英語教育」への今後の期待について尋ねたところ、「期待をしている(30.1%)」「やや期待をしている(45.1%)」をあわせて全体で約8割となり、プログラミング教育よりもさらに多くの期待を集めていた。

 しかし、学年別では学年が上がるにつれて徐々に期待度が低下。高学年の保護者へのアンケート回答では、「話すことをメインに学習しているようなので、文法を学ぶよりも実生活に役に立ちそう(40代前半・小5保護者)」等、文部科学省の目指す「コミュニケーションスキルの基礎を養う」ことを目的とした教育に賛同する声が目立つ一方で、「会話重視で文法が身についていない(40代前半・小6保護者)」等、中学進学後に不安を抱いていることが伺える意見もみられた。また、英語の習い事が定番化しつつあるため、格差を懸念する声もあがった。

 次に「特別の教科」としての道徳の授業について期待値を尋ねたところ、全体としては「期待をしている(22.6%)」「やや期待をしている(44.9%)」をあわせて7割近くが期待を寄せていることがわかった。

 保護者の意見からは、「自分自身で考えたり、回りの考えを知る機会になっている(30代後半・小2保護者)」「スマホの使い方など、学校でみんなで考えている(40代後半・小5保護者)」と時代に沿った内容で、授業が行われていることがわかった。

 しかし、「以前との変化を感じない」に加え、道徳に「成績」を付けることへの懐疑的な意見が多くみられ「採点して成績をつけるということは、何らかの型にはめて評価することになると思う(40代後半・小4保護者)」、「大人に喜ばれる回答を覚えるだけになってしまいそう(40代後半・小5保護者)」との声もあがった。評価は数字ではなく記述式となっているが、教員の教養と力量に左右される部分が大きく、不安を抱く原因となっているようだ。

 次に、主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)について尋ねたところ、約7割の保護者が期待をしていることがわかった。「グループで意見をまとめて発表する機会が増えたようだ(30代後半・小3保護者)」と、以前との違いを実感している保護者もいたが、自分の意見を主張できない子には重荷に感じるという心配の声や、「教員によって違う」「まだ教員の話しを聞いているだけという印象」という声も少なくなかった。

 最後に、昨今の教育の変化を踏まえて伸ばしてあげたい子供の能力と、習わせたい習い事について調査した。まず、認知能力(点数等で数値化できる能力)と、非認知能力(点数等で数値化できない能力)のどちらを伸ばしてあげたいかの質問に対し、「どちらかといえば非認知能力(54.0%)」「非認知能力(13.4%)」をあわせて67.8%が「非認知能力」を伸ばしてあげたいと回答。

 そのため、保護者が子供に習わせたい習い事でも「スポーツ系習い事(23.6%)」「英語教室(16.2%)」についで、とりわけ「探求型の学習塾(15.4%)」に注目が集まり、能動的に動ける人になってほしいという保護者の願いが伺える結果となった。しかし、保護者の新学習指導要領の認知度が低いことを考えると、子供に能動的に学んでもらうことを望むだけではなく、自らも能動的に学ぶべきなのかもしれない。
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《川端珠紀》

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