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教員免許更新制廃止、自動復活する「休眠」免許が話題

 法改正によって教員免許更新制が廃止され、施行日時点で有効な教員免許状は有効期限のないものとなるのだが、SNS等でとりわけ注目を集めているのが「休眠」状態の免許状の取り扱いだ。

教育行政 文部科学省
令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて
  • 令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて
  • 東京都公立学校の臨時的任用教員募集ページ
 文部科学省が2022年5月13日、改正教育職員免許法施行後の教員免許状の取扱いについて、全国の教育委員会に周知した。法改正によって教員免許更新制が廃止され、施行日である2022年7月1日時点で有効な教員免許状は有効期限のないものとなるのだが、SNS等でとりわけ注目を集めているのが「休眠」状態の免許状の取扱いだ。

 更新制導入前に初めて免許状の授与を受けた人(旧免許状保有者)のうち、有効な教員免許を必要とする職に就いておらず、今後もその予定がない人の場合、修了確認期限(有効期限)を過ぎても免許状は失効せず、「休眠」扱いとされる。休眠中の免許状は返納する必要はないが、教員免許を必要とする職業に就く際には更新講習を受講し、免許を「回復」させる必要があった。この休眠免許を持つ人のことを「ペーパーティーチャー」とよぶ。

 今回の教員免許更新制廃止にともない、文部科学省は「施行日時点で有効な教員免許状(休眠状態のものを含む)は、手続なく、有効期限のない免許状となる」としている。つまり、これまでは回復するために手続きが必要だった休眠状態の免許状が自動的に、しかも無料で有効な免許状になるということだ。

 なお、施行日前に有効期限を超過した教員免許状のうち、「休眠」扱いとなるのは「旧免許状」かつ「非現職教師」に限られる。更新制導入後に初めて免許状の授与を受けた新免許状保有者や、旧免許状保有者で現職教師の場合は、「失効」扱いとなり、都道府県教育委員会に再授与申請手続きを行うことで、有効期限のない免許状の授与を受けることが可能となる。

令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて
令和4年7月1日以降の教員免許状の扱いについて

 SNS上では、「休眠」という扱いのわかりにくさを指摘したり、「(これまで免許更新にかかった)お金を返してほしい」といった声が見られた。

教員免許更新制の廃止に免許保有者の93%が賛成
「時間の無駄だった」の声も

 また、ペーパーティーチャーでも手続不要で免許が有効になることから、教員を採用するハードルも下がるかもしれない。東京都教育委員会は5月20日、都内の公立小学校の臨時的任用教員の募集を開始。「皆様のお力をお貸しください!」と題された募集ページには「免許状が休眠中の方などもご相談ください」とあり、幅広く募集をかけているようだ。

東京都公立学校の臨時的任用教員募集ページ
東京都公立学校の臨時的任用教員募集ページ


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