約4割の公立中学校が、LGBTQの服装に関する配慮を行っていることがカンコー学生工学研究所が、2022年3月22日に発表した調査結果から明らかとなった。 調査は2021年8月、全国の公立中学校1,194校にアンケートを郵送し調査を行った。「LGBTQ」とは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)、クエスチョニング(Q)の性的少数派の中で代表的な5つの頭文字を取った総称。この調査では、性の多様性をLGBTQと表記している。 LGBTQの生徒へ配慮した取組みでは、「制服(42.2%)」や「服装(41.1%)」等の服装に関する配慮がもっとも多く、ついで「トイレ(25.4%)」「更衣室(24.3%)」等の設備に関する配慮が多くあがった。 服装規定を定めているかについては、「自認する性別の制服・体操服の着用(31.9%)」や「衣替えの期間の見直し(19.4%)」等、現行制服の規定内で柔軟に対応している場合が多かった。 さらに、制服デザインの見直しや変更については、「見直し・変更済み」「見直し・変更を行っている途中」「見直し・変更の予定がある」を、あわせると50%以上となり、学校全体で性の多様性を認め合う環境づくりが進んでいることがわかる結果となった。 性の多様性について授業で取組みを行っているかについては、「すでに取り組んでいる(44.7%)」「これから取り組む予定(31.3%)」と回答した学校をあわせると76%となった。約8割の学校が授業での取組みを実施しており、LGBTQへの関心の高さがうかがえる結果となった。 当事者生徒への対応については、チームや体制が整備されていると回答した学校は49.9%。約半数の学校で、サポート体制が整っていることがわかった。 LGBTQの生徒への配慮に関しては、 文部科学省の「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査について」(2014年6月公表)で、おもに配慮は個別にしているものとして記載。「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について」(2015年4月通知)では、支援体制や学校生活の各場面での支援等が通知され、その実施が促されている。 文部科学省の通知から約6年が経過した今回の調査では、個別の配慮から学校全体での配慮まで広がり、LGBTQの当事者生徒がいる、いないに関わらずさまざまな取組みが実施されていたことは大きな変化だとしている。