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オンライン授業参加は出席か出席停止か…自治体で分かれる判断に保護者も不安

 さいたま市在住。わが子は「ハイブリッド授業」実施でオンラインで授業を参加するようになって1週間。オンライン授業のようすを見ながら感じたこと、第2弾。

事例 その他
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 緊急事態宣言下に置かれる自治体が増えている。そんな中、2学期を通常通り開始したところ、夏休みを延長したところ、あるいはオンライン授業としたところ、はたまた登校とオンラインの「ハイブリッド」で進めているところなど、その対応もさまざまだ。

 ところが現在、「オンライン授業」について、その扱いを出席とするのか出席停止となるのかが自治体によって判断が分かれており、SNS上でも話題となっている。

SNS上の声

 こうした保護者からの切実な声が、現在、散見できる。

さいたま市では…

 オンライン授業か登校かを選択できる「ハイブリット」で2学期の授業を開始したさいたま市。2021年9月3日に市立の学校に通う保護者宛に「さいたま市SAM」(さいたま市学校安心安全メール=さいたま市教育委員会からの一斉メールシステム)でさいたま市教育委員会教育長の細田眞由美氏の名前で配信されたメッセージでは、オンライン授業に参加した児童生徒の出欠の扱いについて触れられていた。そこには、「公簿上は『出席停止』として記録するという取扱いとなります」と記されている。

 そして「このことについて、皆様の中には、疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと存じます。教育委員会といたしましては、オンライン授業に参加した児童生徒の出欠の扱いについて、文部科学省と繰り返し議論いたしましたが、最終的には、現行の法令上では『出席停止』として扱うしかないことを承知したところでございます」と続いていた。

 しかしながら、保護者として気になるのは、「出席停止扱い」が子の成績に悪影響となるのではないかという点だ。その点についてはどうなのか。

 「とりわけ、高等学校入学者選抜等において、不利益を被ることになるのではないかと心配になった方もいらっしゃることでしょう。各学校では、オンライン授業に参加した日数等について指導要録に明記し、全く不利益のない運用をいたします。また、文部科学省は、高等学校入学者選抜等を実施する各教育委員会等に対して、新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえ、「特定の志願者が出席日数や学習評価の内容等の記載により不利益を被ることがないようにする」など、入学志願者一人ひとりが安心して受検に臨めるよう、十分に配慮して実施する旨の通知をしておりますので、御安心いただきますようお願い申し上げます」と、細田氏はつづっている。

 一方で、寝屋川市の市長はSNS上でこのように述べている。

 また、このような意見も。

混乱解消のためにも

 さいたま市では日々トラブル(おもに接続できない、配信できないというもの)はありつつも、何とかオンライン授業を前進させ、いかなる状況であっても子供たちの学びを止めないようにしようと、市教育委員会も現場の先生方も必死で取り組んでいると思われる。実際、本日のわが子の授業終わりの帰りの会の際に画面の向こうから先生が「今後、コロナの状況がどうなるかまだわからない。もっと患者数が増えたら、全員がオンライン授業になるかもしれない」と子供たちに声がけしているのが聞こえ、この状況下で先生方が、オンライン授業の必要性を切実に感じている心の内を垣間見た気がした。

 文部科学省では2020年7月9日の「第126回初等中等教育分科会資料で、「新型コロナウイルス感染症を踏まえた、初等中等教育におけるこれからの学びの在り方について~遠隔・オンライン教育を含むICT活用を中心として~」を提出している。

 この中の「学校で学びたくても学べない児童生徒への遠隔・オンライン教育の活用について」では、「学校で学びたくても学べない児童生徒(病気療養、不登校など)に対し、遠隔・オンライン教育を活用した学習について出席扱いとする制度の活用促進や好事例の周知を図る」としている。現状、新型コロナウイルス感染症の拡大に不安を感じ「学校でまなびたくても学べない児童生徒」は、これに当てはまるのではないかと思うのだがどうだろうか。

 オンライン授業を前進させようと頑張る先生、普及を願う親にとって、自治体によって出席・出席停止の判断にブレの生じる現状は、決して望ましいものではない。混乱を収めるためにも、そして今後オンライン授業の波及を促すためにも、文部科学省にははっきりとした方向性を示してもらいたいものであると、一保護者としては思わざるを得ない。

《毬藻 美佐》

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