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【相談対応Q&A】家でオンライン授業が受けられない

 新型コロナウイルスの流行により、夏休み明けの学校再開が例年とは違う状況になっています。地域の感染状況にもよりますが、「夏休みの延長」「分散登校」「オンライン授業の実施」等の方策が取られています。

事例 ICT活用
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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第49回は「家でのオンライン授業をきちんと受けることができない」。

家庭での端末利用に課題


 新型コロナウイルスの流行により、夏休み明けの学校再開が例年とは違う状況になっています。地域の感染状況にもよりますが、「夏休みの延長」「分散登校」「オンライン授業の実施」等の方策が取られています。そういった中でうまくいっていないものの1つに「家庭でのオンライン授業」があります。

 GIGAスクール構想に関わるタブレット/PCの活用については、単にタブレット/PC等の端末を子供に配布すれば終わりとなるものではありません。家庭での活用となるとさらにいくつかのハードルがあります。IDに関すること、家庭での通信環境に関すること等が課題となります。そういったもののうち1つでも何らかの不具合が発生すると、タブレット/PCの活用ができなくなってしまいます。文科省はタブレット/PCの家庭への持ち帰りを推奨していますが、すべての子供が上手に活用していくことは難しさを伴います。

 2021年8月30日に文科省が発表したデータによると7月末時点で約96%の自治体で端末の配布が完了しており、約64%の学校で端末の持ち帰りができる状況だとのことです。これはおよそ3分の1の学校で持ち帰りの準備ができていないということになります。

 実際に家庭においてタブレット/PCを使ってみると、何らかの不具合が発生することがあります。1学期から丁寧に時間を掛けて準備をしていた学校は不具合が少なく済みますが、急にオンラインの授業に取り組もうとした学校は、不具合が多くなる傾向にあるようです。そして、家庭での不具合(うまくつながらない等)について、学校に連絡がある場合があります。理由としてはさまざまなことが考えられます。先ほども少しあげた家庭の通信環境に関することやIDに関すること等です。1人の子供が授業を受けることができないということは、とても重要なことなのですが、そういった個別の対応(職員室にかかってきた電話を担任に取り次ぐ等)をしていると、授業(対面、オンライン共)が成り立ちにくくなってしまいます。

対応策は…


 対応の方法としては、詳しい職員を職員室等に待機させ、電話やメール等の対応をすることが理想です。ある程度詳しい人であれば、対応方法をアドバイスできる可能性が高くなります。家庭内の通信環境に関することであれば、通信会社に連絡をすることを勧めた方が良いですし、自治体によってはルーター等を貸し出している場合もあります。また、単にあるボタンを押すことができてないことが原因である場合もあります。そういったことを推測し、指摘ができる状況が望ましいです。ただこういった人材は学校内にたくさんいる訳でないと思います。その教員がそのタイミングで授業を担当していることも多いはずです。

 対応策としては、PTAや地域の人等の中でこういったことに詳しい人にボランティアとして関わってもらうことです。民間企業では、テレワーク等が推奨されています。また、PTA活動も含めて、地域貢献活動をすることも推奨されています。そういった人材を学校の教育活動の中に組み込めるような仕組みを作るのです。そういった方と協力しながら、相談窓口(電話、オンライン)を開設することができればさらに良いでしょう。学校(教師)は自分達で仕事を抱えすぎる傾向があると私は感じています。周りにいる人材に頼ることも大切でしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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【シリーズ名変更のお知らせ】「クレーム対応Q&A」シリーズにおきまして、長期連載する中で、クレームではない保護者からの相談についても、このシリーズ内でご紹介してまいりました。特に悩みを抱える保護者からの相談につきまして「クレーム」という表現は相応しくなく、シリーズ名を「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」と分けることにいたしました。ご意見をいただいた読者の方に感謝申し上げるとともに、ご不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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