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【相談対応Q&A】子供が家庭学習を嫌がる

 親が子供との関わりにおいて苦労するものに「家庭学習」があります。家庭には、テレビ、ゲーム、スマホ等、子供にとってさまざまな楽しみがあり、学習に取り組むということは難しいことである場合もあります。今回のテーマは「子供が家庭学習をやりたがらない」です。

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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第43回は「子供が家庭学習をやりたがらない」。

家庭学習の意味を考える


 親が子供との関わりにおいて苦労するものに「家庭学習」があります。宿題やそれ以外の学習も含めた家庭で取り組む学習に関することです。家庭には、テレビ、ゲーム、スマホ等、子供にとってさまざまな楽しみがあります。そういった状況において、学習に取り組むということは難しいことである場合もあります。

 私は約20年間、小学校の教員をしていました。学校の宿題等に関して、子供に対する親のさまざまな関わり方を見てきました。たとえば、ある宿題で途中までは子供の字であったものが、途中から大人の字(親が代わりに書いた)になっていたということを経験したことがあります。1回は夏休みの自由研究で、もう1回は日々の漢字の練習です。「宿題を出す」ということは大事なことなのですが、親が子供の代わりにやり、それを提出するということは、子供にとってどういった意味合いがあるのだろうと考えてしまいました。「宿題を出す」ということをきちんとさせたいという親心だったと思うのですが、それが子供の学び・育ちになっていたかというと疑問が残ります。

 宿題を含めた家庭学習に関して、うまくいかないことがあった場合、無理やり取り組ませるということはあまりオススメできません。また、子供も目の前に何らかの報酬(宿題をやったら、〇〇ができる)を設定するようなやり方もあまり良くないと考えています。私は「やらされている」勉強と「自らやっている」勉強では、学びの質に10倍くらいの差があると考えています。大事なことは、子供がその学び(宿題等)が必要だと自ら感じ、取り組むようになることです。

 そのためには、少し手間が掛かるのですが、「なぜ家庭学習が必要なのか」を子供が考えることです。宿題等の家庭学習に積極的に取り組まない子供に対し、「なぜ家庭学習に取り組む必要があるのか?」という問いを投げ掛けるのです。

子供が自分で考えていくことに意味がある


 これは家庭学習に関することだけではありません。学習全般に関することにも当てはまります。私は小学校の学級担任をしている時、新しいクラスを担当した際には、少し時間を掛けて「なぜ学ぶ必要があるのか?」ということを考えることをしていました。4月の段階で、一度そういったことを考えることが、結局はプラスに働きます。こういったことを考える際には、教師や親が自分の考え等を伝えることはあまりしない方が良いです。時間がかかっても、子供自身が自分で考えていくことに意味があります。

 親が家庭学習に関して色々と困っているという話をしてきた際には、私は上記のようなことを伝えていました。実際に親が取り組むには親の忍耐力が必要になる場合もあります。親が思っていることを子供に押し付けるのではなく、子供が自分で考えていくことに意味があります。そういった親子の関わりの中で、子供も親も少しずつ育っていくのだと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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【シリーズ名変更のお知らせ】「クレーム対応Q&A」シリーズにおきまして、長期連載する中で、クレームではない保護者からの相談についても、このシリーズ内でご紹介してまいりました。特に悩みを抱える保護者からの相談につきまして「クレーム」という表現は相応しくなく、シリーズ名を「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」と分けることにいたしました。ご意見をいただいた読者の方に感謝申し上げるとともに、ご不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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